弘善会

特定行為看護師とは、医師の指示のもとで定められた手順書に従い、医師の判断を待たずに一定の診療行為を実施できる看護師です。

弘善会クリニックでは、看護師の長命が特定行為看護師として活躍しています。

特定行為看護師としての取り組みや、やりがいについてインタビューを行いました。


「患者さんの“困った”に寄り添いたい」

― 弘善会クリニック 特定行為看護師インタビュー ―

弘善会クリニック 看護師 長命 美幸

 

■ 特定行為看護師を目指したきっかけ

弘善会クリニックに勤める前は、訪問看護に携わっていました。在宅で生活されている方の褥瘡ケアに関わる中で、訪問診療と訪問看護の“間”の時間に褥瘡の状態が悪化してしまうことがあり、デブリードマン(壊死組織の除去)などの処置が必要でも、次の診察まで待たなければならない場面が多くありました。

病院の受診には移動や介助など多くのハードルがあり、「もっとタイムリーに処置できたら」と感じていた時に、特定行為看護師という存在を知りました。自分もその一員として在宅療養を支えたいと思い、受講を決意しました。

資格取得には放送大学での基礎科目の履修、和歌山県立医科大学での実習、OSCE(モデル人形を用いた実技試験)、5症例のレポート作成など、事前学習も含めて約3年で修了しました。仕事の合間や朝の時間を使って、250時間以上の学習を重ねました。正直、途中で心が折れそうになることもありましたが、「患者さんの役に立ちたい」「患者さんにより深く関われるようになりたい」という思いが支えになりました。ようやく資格を取得できたときは、達成感とともに「これからがスタートだ」と感じました。

 

■ 特定行為看護師としての現在

現在は褥瘡の管理は単独で行い、気管カニューレの交換や胃ろうチューブの交換、輸液管理などは医師と連携しながら対応しています。

訪問診療と訪問看護の“間”を埋める存在として、患者さんの生活に深く関わり、安心を届けています。

 

■ 特定行為看護師としてのやりがい

訪問診療と訪問看護の“間”に私が介入することで、患者さんやご家族の「困った」が少しでも軽くなる。その瞬間に、大きなやりがいを感じます。

褥瘡の治癒過程を多職種で共有しながら、自分の関わりで少しずつ改善していく様子を見守ることができるのは、特定行為看護師だからこそできることです。実際に「長命さんのおかげで治った」と言っていただけたこともあり、日々のケアが患者さんの生活に直結していることを実感しています。

チーム医療の一員として、創傷管理に関する情報を共有し、患者さんにとって最適なケアを検討しています。先生方もとても協力的で、すぐに相談できる環境があるのは心強いです。弘善会クリニックは、そうした連携がしっかりしていて、本当に働きやすい環境だと感じています。

ただ処置をするだけではなく、「なぜこの方は褥瘡になったのか」「どんな生活をされているのか」といったアセスメントがとても重要です。在宅では病院のように毎日決まった時間でケアをするのが難しく、ご家族も忙しい中で、できる範囲で予防や早期対応を考える必要があります。

だからこそ、私は「予防が一番大切」と考えています。初期段階での対応や、生活環境に合わせたアドバイスを行うことで、患者さんもご家族も安心されますし、褥瘡にならずに済むことが何よりです。「こうしたらいいですよ」と伝えるだけでも、患者さんの気持ちが楽になることがあります。

そして、医師のタスクシフティングという面でも、特定行為看護師の役割は大きいと感じています。私が介入することで、先生方が他の患者さんに集中できる時間が生まれたり、訪問診療の質が高まったりする場面もあります。先生がいない時間帯でも、私が褥瘡の経過を見ておくことで、次の診察時にスムーズに治療方針を立てられることもあります。

「この人がいてくれて助かった」と言っていただける瞬間が、私にとって何よりのやりがいです。

 

■ 特定行為看護師を目指す方へ

特定行為の勉強は、働きながら進めるため正直とても大変です。途中で心が折れそうになることもあります。でも、「現場で困っている患者さんの役に立ちたい」という思いがある方には、必ずやりがいのある道だと思います。

特定行為は38区分ありますが、自分の勤務する現場でどの区分が必要かを見極めることも大切です。私は、褥瘡の管理、気管カニューレの交換、胃ろうチューブの交換、輸液管理の4区分を取得しました。今は医師の指示のもとで実践を重ねながら、単独で対応できる場面も増えています。

資格を取ることがゴールではなく、そこからが始まりです。患者さんの生活や背景をしっかりアセスメントし、今できる最善のケアを届けたい。その思いがある方は、ぜひチャレンジしてみてください。

高齢化社会が進む中で、在宅医療の需要はますます高まっています。特定行為看護師の役割は、これからさらに重要になると感じています。法人内でも、特定行為研修に興味を持っている看護師さんが増えてくれたら嬉しいです。

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